【幕間2:カルメ先生の魔術講座・属性編】

「そーいえばさ、カル兄って土魔法が一番得意じゃん? でも土魔法を使える人ってもれなくみんな風魔法を使えないよね。常識といえばそれまでなんだけど、これって何かちゃんとした理由があるの?」
「勿論。そこらへんは『魔法原理学』の範疇だが……まだ履修してないか」

 いつものように雑談と授業の垣根が曖昧になったカルメの暇つぶし講義で、イオニアは何気ない疑問をぶつけた。カルメはらくがきばかりになった黒板をいったん綺麗にしてから、かつかつと新しく文字を書き始める。

「まず前提として、魔法の属性は二つで一セットだ。それぞれ『火と水』『土と風』『雷と草』『光と闇』だな。これらのセットは魔力の方向が正反対で、片方の属性が使える奴はもう片方の属性を使うことができないんだ。うーん……そうだな、数字の正負をイメージすると分かり易いかもしれない」
「ふむふむ。光と闇は魔法を使える魔法使いならだれでも扱えるんだよね?」

「ああ、そうだ。ここら辺はこの前も話したから割愛するとして……魔法の素質がある奴は、原則光と闇以外の六つの属性の中から一番適正の高い得意属性を持つ。僕の場合は『土』だ。んで、そこからは個人の魔力量と素質によって扱える属性が増えていくってことさ。『光』と『火』だけしか使えない奴もいるし、四つの属性をフルで使える奴もいる。一つ気を付けてほしいのが、使える属性の数と魔力量は必ずしも比例しないってことだ。因みに僕は『土』『水』『雷』『闇』を使えるが、これらと正反対の属性である『火』『風』『草』『光』は天地がひっくり返っても使えない。こういう属性の縛りはどの種族にも当てはまる共通点だ。魔法に関しては、万能なやつなんてどこにもいないってこったな」

「ふーん。俺も扱える属性の種類は『水』『風』『草』『光』って多いけど、魔力量が少ないから中々大きな魔法に昇華できないんだよね。だからこそ、魔法剣なんていう変な戦い方で誤魔化してるんだけど」

「魔法の使い方は人それぞれだぜ。得意属性と他の属性の魔力を組み合わせた合体魔法なんかもあるしな。魔法使いにとって魔法は一生モンだし、自分に合った使い方を模索していくことも大切だ」
「おっ。カル兄、今回はいい感じで締めたね」
「……その一言が無ければよかったんだがな」