プロットを書きあげるまでが一番つらい(またの名を現実逃避のミニ語り)

表題から分かる通り、新しい短編の制作に難航しています。苦しみのあまり積読していたホームズの短編集『シャーロック・ホームズの思い出』に手を付け始めました。(自分の創作をしろ!)

 

探偵小説の元祖とも言われるホームズ作品ですが、実は短編の話は必ずしも殺人が絡む話ではなく、現代のミステリ用語で言うところの『日常の謎』にカテゴライズされるようなものもあります。

私は幼少期に見た『名探偵コナン』で初めてシャーロック・ホームズというキャラとアーサー・コナン・ドイルの名前を知ったので、初めはホームズ作品もコナンのように殺人事件ばかり扱っていると勘違いしていました。

しかし実際に読んでみると「赤毛連盟」や「エメラルドの宝冠」、「黄いろい顔」などなど、殺人事件とは程遠いちょっとしたふしぎ事件が多く、またその語り口もワトスンの筆を通して我々読者に伝えられるため、現代の日本において一般に「推理小説」と称されるような作品——例えば有栖川有栖や鮎川哲也作品など——とは少し毛色が違います。

有栖川有栖のような新本格派の人々が書くものが一般に連想される「推理小説」だとすると、ホームズ作品はどちらかといえば「冒険小説」という要素に偏っているんですね。……たぶん。

実際、「まだらのひも」での薄暗い部屋で息を潜めるホームズとワトスンの緊張感あふれる場面や、「ボスコム谷の惨劇」におけるとあるカップルの顛末、そして何より「四つの署名」でのメアリ・モースタン嬢とワトスンの恋模様(ついでにそれに対するホームズの反応)などの描かれ方はサスペンスや恋愛といった推理以外の要素を含んでおり、我々読者に対して謎の解決とは別のすっきりとした読了感を与えてくれます。

私はこういった『ストーリーの本筋の目的(推理小説なら謎の解明)にはあんまり関係ないけど、ちょっと他の要素もつまみ食いしたいよね』みたいな感じの構成が大好きなので、自創作もそういう感じで頑張りたいなあ……とふわっとした展望を持ちながら日々もそもそひっそり創作しています。

 

……という現実逃避の語りでした。ちなみに、このサイト『碧いざくろ石』の名称もあのホームズ短編から持ってきたものなんですよ!