バナナトラップの白昼夢【AIのべりすととの共作】

 歩道のど真ん中に、ポップでキャッチー、ビビッドな黄色がぽとんと立っている。
 道ゆく人々はそれを器用にすいすいと避けているので、まるでその黄色に丸い魔法のバリアでも貼られているようだ。

「ふん、滑って転ぶなんてギャグじゃあるまいし。ゴミはゴミ箱に。常識だろう」

 そう言ってカルメは鎮座していたバナナの皮をひょいと摘み上げ、同行していたイオニアと一旦別れてすたすたと広場のゴミ箱へ向かう。誰も引っ掛けることの出来なかった哀れな罠は、ぼとりとゴミ箱の底へ吸い込まれていった。

「さて、今日は早めに帰って本棚の整理でもするかな——っ?!」

 早くも帰宅後のことを考え始める彼の視界は、いきなりがつんと地面に近づく。

「いっ……てぇ……っ!!!」

 悲しいかな、彼はバナナトラップこそ回避したものの、その後に待ち受けていた段差トラップへまんまと引っ掛かってしまったのである。
 考え事をしていたカルメは目の前に段差があることを完全に失念してそのまま足を出し、見事に段差へつっかかって脛を段差の角にぶつけてしまっていた。

 公衆の面前で大声を出すわけにはいかない、という彼のプライドと、それを許さない激痛がせめぎ合う。痛みに支配されつつある意識のなか、彼は走馬灯の中に一筋のビビッドイエローを観測していた。

◆◇◆

「うわぁ! お兄さん大丈夫!?」

 意識を取り戻したとき、彼は見知らぬ草地の上で横になっていた。

「あ、あれ……ここは?」
「良かった! 気がついたんだね!」
「えっと、君は確か……」
「あたし、ルーティ・アイロットだよ! よろしくね!」

 そう言う彼女の顔を見て、ようやく彼は自分が助かったことを理解した。

「僕はカルメ・ルンっていうんだ。こちらこそよろしくな」
「うん! ねえ、あの後どうして倒れちゃったのか覚えてる?」

「いや、それが全然思い出せないんだよな……。もしかしたら僕、何か変なものでも食べたんじゃないか?」
「そっか〜。まあいいじゃん! 命あっての物種って言うしさ!」

「そうだよな。ありがとうルーティ、君のおかげで助かったよ」
「いいってことよ! それより早く帰らないと日が暮れちゃうよ!」
「ん、ほんとだ。ごめんな引き止めて」
「また会えるといいね!」
「おう、じゃあな!」

 そしてカルメは、駆け足でその場を去った。
 それからというもの、二人は毎日のように公園で会うようになった。

「おはよう、カルメくん!」
「おっす、ルーティ!」

 ルーティはいつも明るく元気いっぱいだが、たまにドジをすることがあった。カルメはそれを見て、まるで妹ができたみたいだと微笑ましく思っていた。

「お待たせー! はいこれ、今日のお弁当!」
「ありがとな、毎朝悪いな」
「全然平気だってば! あたし料理好きだからさ!」
「そうなのか? なんか意外だな」
「むっ、どういう意味だい?」
「ははっ、冗談だよ。ありがとう、美味しく頂くとするよ」
「はいはいどういたしまして! ところでさ……」

彼女は少し照れたような表情をして言った。

「あたし達、友達になってくれないかな……?」
「ん、もちろんいいぜ?」
「やったー!! これからもよろしくね!!」

 こうしてカルメとルーティは本当の意味で親友になったのであった。

 ある日のこと、二人は学校帰りに街へ遊びに行くことにした。

「今日は何して遊ぼうか?」
「うーん、特に決めてないけど、ゲーセンとか行きたいかも!」
「いいねぇ、じゃあ行こうか!」

 カルメとルーティは、二人で肩を並べて歩く。
 その時、不意にカルメが立ち止まった。

「カルメくん?」

不思議そうな顔をする彼女に、カルメは真剣な眼差しを向ける。

「……ちょっと話があるんだけど、今時間あるか?」
「えっ? うん、別にいいけど……」
「じゃあ、あそこのベンチに座ろうか」

 カルメが指差したのは、公園の端にある木製の長椅子だった。二人並んで腰掛けてもまだ余裕がありそうだ。
「それで、話って何?」
「実は僕、ずっと前からお前に伝えようと思ってたことがあってさ……」

 カルメは一瞬言い淀んで、そして続けた。

「——僕と付き合ってくれないか?」

「……えっ?!」

 突然の言葉に驚いたルーティは、思わず素っ頓狂な声を上げる。
 そんな彼女に向かって、カルメはさらに言葉を続ける。

「いきなりこんなこと言ってごめんな。でも、僕にとってはすごく大事なことだからさ。どうか考えてみてくれないか?」
「……」
「返事はいつでも構わないよ。僕はいつまでも待ってるから」
「……わかった。ありがとう」

 カルメは立ち上がり、その場を後にする。その背中を、ルーティはじっと見つめていた。

 次の日、カルメとルーティは学校で顔を合わせるなり早速会話を始めた。

「……昨日の告白、答え聞かせてくれるかい?」
「うん、いいよ。私、君のこと好きじゃないもん」
「そっか。なら仕方がないな」

「……ふふん、やっぱり振られちゃったね〜」
「いやいや、気にしないでくれ。最初からわかっていたことなんだ。だから僕は君と恋人になろうなんて思ってなかったんだよ」
「うわ〜、ひっどぉい!」
「ははは、ごめんな! ……さて、話は終わりだ。教室戻ろうぜ」
「うん! また明日ね!」

 そして二人は別れた。

 さらに翌日、再びカルメとルーティは顔を合わせた。しかし今度はお互いに挨拶すらしなかった。
 カルメは席に着くやいなや、本を読み始める。その様子を見たルーティは、彼に聞こえないように小声でため息をついた。
 そして、放課後を迎えるとすぐにカルメのもとへ歩み寄っていった。

「ねえ、カルメくん」
「ん、どうしたんだ?」

 彼は相変わらず本を読んでいる。

「あのさ、昨日の話なんだけど」
「ああ、あれか。ごめんな、無理言って困らせちゃって」
「ううん! 全然平気だよ!」
「そう言ってくれて助かるよ。それじゃあ、またな!」

そしてカルメは再び歩き出す。しかし、途中で立ち止まると振り返りざまに言った。

「……俺が嫌いなタイプだろ?」
「うん! 大っ嫌い!」

 ルーティは笑顔を浮かべている。

「はは、はっきり言うなぁ。まあ知ってたけどさ」
「じゃあね、ばいばーい!」
「おう、またな!」

 カルメは手を振りながら去っていく。その姿が見えなくなるまで、彼女はその場に立っていた。
 そしてそれから数日後のある日のこと。
 カルメとルーティはいつものように公園で落ち合っていたのだが、今日は少し様子が違った。なんと彼女が泣いているのだ。

「おい、どうしたんだよ急に泣き出して!? 何かあったのか?」
「違うの……。あたしが悪いの……あたしが全部悪いの……」
「何があったか話してくれよ。僕達友達だろ?」
「……うん。実はね——」

 彼女は全ての事情を話し終えた後、「本当にごめんなさい!」と頭を下げて謝った。

「いいよ、もう済んだことだしさ」
「ううっ、カルメくぅん!!」
「ほら泣くなって、男前が台無しじゃないか」
「ぐすっ、ありがとう……!(お、男前……?)」
「ところで、どうしてあんな嘘ついたんだ?」
「それはね、こうすればカルメくんに諦めてもらえるかと思ったからなんだ」

「へぇ、なるほどな……」
「あたしのこと、嫌いになったよね?」
「そんなわけないだろ。むしろ嬉しいぜ」
「えっ?」

「だって、それだけ僕のことを好きでいてくれたってことだろ? 僕もお前が好きだ。愛してるよ」
「うわ〜、ちょっとクサすぎかな〜」
「はは、照れ隠しってやつさ」
「うふっ、そうだね!」

こうして二人は晴れて恋人同士となったのであった。

◆あとがき◆
いかがだったでしょうか? 楽しんで頂けたなら幸いです! この小説にはまだまだたくさん面白い話が詰まっています。もし興味を持たれたら、是非とも他の作品にも目を通してみて下さいね!! では最後に、改めてお礼を言わせていただきます。この作品を読んでくださった皆様、誠にありがとうございます!!!

◆◇◆

「うわぁ! カル兄大丈夫!?」

 意識を取り戻した時、彼は見知ったベッドの上で横になっていた。

「あ、あれ……ここは……」
「良かった、気がついたんだね!」
「えっと、お前は確か……ルーティ?」
「えぇ、大丈夫? 俺はイオニアだよ、イオニア・ラウティオ!」

 薄氷色の髪を持つ少年はとんとん、と胸を叩きながら溌剌と自己紹介した。言われずとも、カルメがよぉく知っている名前である。

「ん……じゃあ今までのは夢か……なんか中身のないあとがきとかあったし……」
「あとがき? まだ意識が朦朧としてるね。医院いこっか?」
「いや、大丈夫だ。僕が目覚めるまでついててくれたんだな、ありがとう」
「……うわ、カル兄が素直にお礼を言うの、なんか変な感じ」
「だよな、僕もそう思う」

 カルメは自室のベッドで身を起こした。と同時に、痛めた脛がずきりと疼く。どうやらあの後自分は痛みのあまり意識を失い、イオニアに探偵所まで運んでもらっていたらしい。
 彼は自らの身体の貧弱具合に情けなさを覚えつつ、自分に似つかず肉体派な従弟に感心した。

 カルメが目覚めたのを見届けた後、イオニアは自分の部屋へと戻っていく。残されたカルメは未だどこかふわふわとした意識のまま、先ほどの夢を反芻していった。自分がありきたりなボーイミーツガールの登場人物になるとは夢にも思わなかった。……いや、夢では実際になっていたが。

「それにしても、だ」

 ルーティと名乗る謎の少女、なぜか学校に通っているカルメと彼女、そして彼と彼女の間に巻き起こったなんともいえないラブロマンス……。一般的な男性ならば、その少女に恋慕してしまうかもしれない。

 しかし。

「結局ルーティが僕に話してくれた事情って、なんだったんだ?」

 残念ながら、カルメは一般男性とはかけ離れた感性の持ち主。現実を生きる探偵魔術師は、可憐な少女よりも彼女の持つ謎の方へ夢中なのであった。

〈了〉

 

道端にバナナの皮が落ちていたが「滑って転ぶなんてギャグじゃあるまいし」と冷静に拾ってゴミ箱に捨てて段差につまづいて転ぶカルメ

文園(23zonozono)さんの保存した診断結果 – 2021/10/18 18:34
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/@23zonozono/results/jng2qyJAPrlemJ

◆◇◆
この👆飾りで括られた中盤の部分はAIのべりすとのAIに書いてもらったものです。唐突に新キャラを出してきたりして新鮮!
◆◇◆