ローシャ探偵所(本編)

 剣と魔法と魔物のはびこるファンタジーな世界で『探偵』という奇怪な仕事に魅入られた魔術師、カルメ。
 彼は本業である魔法研究者としての仕事の傍ら、『ローシャ探偵所』という事務所を設立した。
 従弟の騎士学校生イオニアを助手に迎え入れて準備は万端……だったものの、悲しいかな、この世界において探偵という職業は全くと言っていいほど世間に認知されていなかったのである。

 そんなわけでしばらくは開店休業状態の探偵所だったが、ある日郵便受けに一通の不審な手紙が入っており……

 魔法ファンタジー×探偵ものを目指してます。

 

依頼は小守《プロローグ》

簡単な世界観&キャラ紹介。一話のみでさくっと読めます。

 そんなわけでしばらくは開店休業状態の探偵所だったが、ある日郵便受けに一通の手紙が入っていた。封筒には差出人の名前も切手も、消印も付いていない。
 中に入っていた便箋には、ただ『明日の明朝お伺いします』と書かれているだけ。不審な手紙に興味をそそられたカルメ達は、コーヒー片手にまだ見ぬ来訪者を待つことにした。

 

 ある日カルメ達は、恋人に渡す婚約指輪を見繕ってほしいという依頼を受ける。
 宝石魔法のうんちくを垂れつつ無事に依頼をこなしたカルメだったが、翌日の朝に思いもよらない問題が運び込まれてきた。

 

 探偵所から少し離れて、勇者の国として有名なケンドル王国に来たカルメ達。
 カルメの故郷でもあるその国では、現在博物館にて『魔王展』という特別展が催されているらしい。彼の帰省にくっついてきたイオニアとコンレイはそれに興味津々。
 さっそく博物館に出向いたものの、彼らを出迎えたのは『本日臨時休館』という貼り紙の文字と、物騒な事件の知らせであった。

聖夜の魔法【クリスマス2021】

 ファンタジー世界でクリスマス文学を書きたくなってしまいました。この世界にキリスト教はありませんが、似たような感じの宗教があると思ってお読みください……!

 千円札と両替してください——レジカウンターにずらりと並べられた五十円玉二十枚。男は池袋のとある書店を土曜日ごとに訪れて、札を手にするや風を食らったように去って行く。風采の上がらない中年男の奇行は、レジ嬢の頭の中を疑問符で埋め尽くした。【出典:若竹七海ほか, 『競作 五十円玉二十枚の謎』, 1頁, 東京創元社, 2000】

 この「五十ゴールド硬貨二十枚の謎」は、上記のミステリ作品『競作 五十円玉二十枚の謎』にて扱われた問題をファンタジー世界で解いてみたらどうなるかな? という思い付きでお題をお借りし書いたものです。若竹七海様、並びに東京創元社様と一切関係はございません。

 信心深いイオニアは半年に一回あるという大きな礼拝に参加するため、レストール教会を訪れる。以前にその話を聞いて興味を持ったカペラはカルメを引き連れて礼拝に参加したが、たまたま教会にある女神像を狙った暴漢事件に居合わせる。
 その事件自体はさくっと解決できたカルメ達だったが、後日新たな問題が舞い込んできた。